短編 | ナノ



リクエスト内容:
リヴァイ長編の番外編で甘々なやつ
(付き合ってる設定で書きました)
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「きめえ顔だな」
「いつになく酷いです兵長、私なにかしましたか!?」

朝一番の食堂での恋人との会話がこれである。一体私が兵長に何したっていうんだ、昨日まではクソ話は相変わらずだけれど機嫌は悪くなかったはずだ。

「朝からニタニタしやがって、名前その緩んだツラの原因は何だ?」
「へへへ〜今日は給料日でなおかつお休みじゃないですか、嬉しくって」

衣食住は兵団内で事足りていたが個人の嗜好品等は支給されない、調査兵団に所属してしばらくたったのでやっとまともな額の給金を貰えるようになったのだ。初めてのまとまった自分で自由に使えるお金だ、使うのが嬉しくて仕方がない。

「なんだそんな事かガキだな」
「そんな事ってなんですか、そんな事って!?」

理由を聞いた兵長は興味なさげに食事に戻ってしまった。ちょっとムカつくけれど、私の席から見える横顔が格好いいから気にしないでおく、朝のちょっと眠そうな目がかわいい。

「今日はこれから街へ出て買い物するんです、色々あってゆっくり買い物してなかったから楽しみで…こっちに来てから街に出たこともあんまり無いですし」

見知らぬ街って何だかわくわくするし、見慣れない物とかが売っていて楽しい。調査兵団に戻ってすぐは色々とあって、まともに外に出られなかったから今日を凄く楽しみにしていたのだ。服だって気合いを入れておろしたてのシフォンのワンピースだ。

「見てください姉さんが送ってくれたんですかわいいでしょ、王都で流行っているデザインらしいですよ!」

レースが一杯でヒラヒラしてるけどラインが大人っぽくてちょっと透けていてかわいい。普段はシンプルな服や団服ばかりだから、こういうのを着ると凄く楽しくてにやにやしてしまう。

「おー大人っぽいね名前、最近はこんなのが流行りなのか」

裾をつまんで服のデザインをハンジさんに見せていると、リヴァイ兵長の眉間に皺が寄った。あれ?兵長ってこういう女の子っぽいの好きじゃないのかな…

「……俺も行こう」
「えっ!?」

凄い嫌そうな顔をしているから、予想外の言葉にビックリして大声をあげてしまった。

「名前は嫌か?」
「いっいいえっ!!そんな事ありません!!」

兵長が一緒に来てくれるなんて、むしろ御褒美です!
とにかく首を横にブンブン振って嫌じゃ無いことを主張すると、納得したらしく兵長の眉間の皺が薄くなった。

「…そうか。食い終わったら兵舎前で待ってろ、迎えにいく。それとその服は生地が薄いから何か羽織っていけ、まだ寒いから風邪をひくぞ」

そう言うと、兵長は朝食を片付けて食堂から出ていってしまった。ハンジさんもそれに続き、テーブルには私一人が残されたけれど、兵長の言葉の衝撃にしばらく動けないでいた。
(これってデート!?デートだよね!?兵長とデート!!)


「そんなに人に見せたくないなら着替えさせればいいのに、ねえ?」
「……黙れクソ眼鏡」





「うわぁ美味しそう」
「そんなに食べ物を買ってどうするんだ、食事は調査兵団で出る」

市場は活気に満ちていて色んな物に目移りしてしまう。店先を覗きながら歩くうちに、荷物を持ってくれているリヴァイ兵長との距離が人混みに挟まれてどんどん離れてしまった。

「あっちょっと待ってください!」

どうも私の身長が低いせいか歩幅が合わない、壁外調査の時とちがって自分の足で並んで歩く事がなかったのでなかなか歩くテンポが合わせられなくて、気を抜くと置いていかれてしまうのだ。

「ん」
「?」

急に振り返ったリヴァイ兵長に手を差し出され、何がおきたのかわからなくて、兵長手をじっと見つめる。荷物…は全部兵長に持ってもらっているし、渡す物も無い。どういうつもりなんだろうか?

「つかまれよ、その方が楽だろ」

その瞬間、そっけなく差し出された手が輝いて見えた。

「リヴァイ兵長!!」

いつになく兵長が私に優しい。これはチャンスだ、『つかまれ』って言っただけだからどんなつかみ方をしてもいいよねと事故解釈し、急いで夢の恋人繋ぎを実行する。兵長から文句は出ない、やった!

「名前外で『兵長』はよせ」
「こういうのリヴァイとしてみたかったんです」

こんなことめったに無いんだからもっと積極的にくっつこうとリヴァイ兵長の腕に自分の腕を絡ませた。たぶん私は今、物凄くだらしない顔をしているだろう。でもいいんだ、幸せだから。

普段べたべたするのを嫌がる兵長が文句を言わないなんて奇跡だ、明日は雨が降るかもしれない。




「…名前何か欲しいものは無いのか?」

買い物が一通り終わった頃にリヴァイ兵長がきいてきた、おごってくれるみたいだ。その時、市場の店先に綺麗な花が見えたので選んでもらおうと思ったのだが…

「こんなんでいいのか?」
「心が和むし、かわいいじゃないですか」

リヴァイ兵長はあまり花が好きじゃ無いのかな。

「鉢植えは止めておけ、手入れが大変だし虫がわく」

潔癖性の彼にはそれが耐えられないみたいだ。

「虫のつかない花なんてないですよ」
「花はあまり好きじゃない、虫がつくし枯れてしまうからな。もっと形の残る物を…名前ちょっとここで待ってろ」

帰り道で話をしている途中、リヴァイ兵長が急に私を置いて店に入ってしまった。

「え?え?」

ちょっと待って、デートで置いていかれるって酷くないですか!?
しばらく混乱して道の真ん中で突っ立っていたけれど、置いていかれた事に不安になって店の中に追いかけてみる事にした。

「これ包んでくれ」
「かしこまりました」

店の入口を開けて中を覗くと、リヴァイ兵長は何かを買い終えて商品の受け取り待ちのようだった。声をかけようと近寄ると、言い付けを守らなかった私に怒って店を追い出されてしまった。
帰り道の間、兵長の眉間の皺が酷い。
デートの最後でこんな風になるんだったら、あとちょっと待ってれば良かったなと後悔した。途中までいい雰囲気だったのになあ。



自分の部屋に帰って買ってきた花を飾っていると、リヴァイ兵長がやって来た。

「名前ちょっと来い」

必要最低限の家具しかない私の部屋のベッドに座り、一つしかない椅子を手前に置いて手招きする。座れって事だろう、大人しくそのとおりにした。

椅子の置き方がリヴァイ兵長に対して後ろ向きなので向きを直そうとしたら、肩を掴まれて止められ、なんだか首の周りを撫でられた。
くすぐったくて、リヴァイ兵長の手をつかんでやめさせようとしたら、首にヒヤリと何か冷たい物がつけられている。

「…かわいい、ありがとうございます」

花のモチーフのついたネックレス、さっき買っていたのはこれだったのか。初めての兵長からのプレゼントらしいプレゼントで嬉しい。
今までアクセサリーは立体機動の邪魔になると思ってつけなかったけれど、指輪と違ってこれなら服の中に入れられるからずっとつけていられるだろう。

リヴァイ兵長はネックレスをつけ終えると、私のうなじに強めにキスをした。彼は二人っきりだと、外では嫌がるこういう事も積極的にしてくるのでギャップになかなかなれなくて、私はいつも真っ赤になってしまう。

「これなら虫もつかない」
「?そうですね、金属ですし?」

その答えは兵長の期待していた物と違ったようで、とたんに不機嫌になった。

「……お前、いやいい」

首に回されていた兵長の手が腰にまわり、強制的にベッドに引きずり込まれる。と同時に、手がワンピースの裾を捲り上げて下着に入り込んできた。

「まっまだ夜には早いですよ!?」
「今日は休みだ、別にいいだろう」



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長編で甘々との事なのでデート話にしてみました。
ありがとうございました。