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ロンドン、イーストエンドの夜は暗い。
その暗い路地裏の影へと、一人の少年が歩みを進めていた。
彼の名はディオ・ブランドー、先日最愛の母親を亡くしたばかりだ。
縁の品はすぐに父親に全て売り払われ、彼には母の思い出の品は服ひとつ遺されていない。
だが、家路へ急ぐ彼の心は晴れやかだった。
「……必ず成し遂げてみせる!!」
瞳には炎の光が瞬いていた。
「糞親父共を棄てて、「ナタリア」と俺だけで生きていく!!」
「それこそが俺の選ぶべき「運命」。こんな薄暗い世界じゃない、俺はもっと光り輝く場所へ行くべきなんだ」
自然と力を込めすぎた拳は、爪が肉に刺さり血を流すが、その痛みすら気にならないようだ。
『その場所には俺と「ナタリア」だけがいればいい……』
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