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Walking shadow 0と1の間のディオ視点でのひとこま




この屋敷を使うのにも大分なれてきた。
入る時だけは裏口から入るが、中では部屋も使用人も自由に使える。自宅に比べるとここは天国だ。
叔母がよんだ家庭教師からの一般教養講習も終わり、図書室から何冊か本を見繕って庭へ出た。ここで勉強するようになって一番特をしたのが読み書きだ、文盲では這い上がる事ができない。ある意味仕送りより感謝しているが……

「まって、まってぇでぃお、おいてかないでぇ!あたちもおそとであそぶぅ――」

扉の前で足に抱きつかれたたらを踏む。この屋敷では何か行動をおこすたびにチビがくっついてくるのが難点だ。



春先の柔らかな太陽の光は読書にもってこいのはずだったが、邪魔ばかりされて全く進んでいなかった。自分の膝の上からすぴすぴと小さな呼吸音が聞こえる。
走り回って疲れたのだろう、さっきまで俺の回りをグルグル回っていたが何が楽しいのかさっぱり分からん。

こいつが産まれた時から利用価値が高い事は分かっていたが、こうも暢気でアホな性格だと騙したり利用するには都合がいいが少し心配だ。
まあこいつがアホでもこいつの父親から流れてくる援助金には変わりがない、面倒くさいが仲良くしてやろう。

本を読むには膝の上のこいつは邪魔だ。
体勢を変えようと抱えあげて抱き締める。ちょっとでも力を入れれば折れてしまいそうな貧弱な身体に一瞬驚いたが、それ以上にズボンに染みたヨダレに驚愕した。最低だ。
だっこの体勢に変え、顔が近付けば幼児や新生児特有の臭いがする。

「……でぃお?」

寝惚けた顔で俺を呼び、頬を合わせキスをしてきた。

「だいちゅきだよ、でぃおがいちばんちゅき…もっとあそぼ……」

言い終わらないうちに、また俺の肩に顔を沈め眠りはじめた。



「フン、お前は遊ぶ事しか考えないのか。気楽な奴だな」

無性に腹立たしくなって頬を摘まみ上げた。

(―――よく延びるな)

あまりに面白くて、むずがって起きるまで頬をこねくりまわし続けてしまった。





ちょっと夢主に情がうつりはじめてるディオさん




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