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「起きて」

心地よいまどろみの中、花京院典明はふと考えた。
『ここは天国なのだろうか?』

「ねえ、起きてってば」

聞いたこともない少女の囁き声が目覚めを促す。
『起きて』だって?じゃあ僕は大事な戦いの最中に居眠りでもしてたっていうのか?
いいや、僕はDIOに殺されて死んだはずだ。では目を開ければ、目の前は天国ってやつなんだろうか?

「起きなさい花京院典明!!」

声に促され瞼を上げたが、目の前に広がるのは死の直前に見た光景だった。
いや、少しだけ違っていた。

空は明るみはじめ、朝日の方…僕の目の前には男女二人の幼児が立っていた。おかしい所なんて何もない、普通の服を着た普通の子供。でも、そんな子供がここにいるなんてありえない。僕は幻でも見てるんだろうか。

「説明している暇はないの、この犬と手紙、そしてプレゼントをジョースター達に届けて。ほら、リキエル!!」

そう少女が言うと、隣にいた少年、いや歩き始めたばかりぐらいの幼児が荷物を床に並べていく。
ラッピングされたプレゼントボックスと封筒に入った手紙、そして眠っている子犬……イギーだ!!
なぜだか体が小さいけれど、目の前に差し出されたボストンテリアのふてぶてしい顔は間違いなくイギーだろう。

「じゃあね花京院、命の恩人のお願いはきっちり叶えてくれる人だと信じてるわ」

首を傾けながらお願いをする少女の顔は、誰かに似ている気がした。

「命の恩人だって!?君は一体誰なんだ!!」

「もう会わないでしょうから私の名前なんてどうでもいいでしょ?」

そう言うと少女と少年は動けない僕を置いて、ビルの階下へと去っていった。




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