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ディオが今日訪れたのは、亡き母の『妹』の家。そう、母方の叔母の家だった。
品のよい館に成金趣味の装飾家具が並ぶ邸内は、住人の隠しきれない歪な雰囲気を少し漂わせていた。
叔母は母と同じように低い階級の出身だが、金持の下級貴族に見初められ御屋敷で暮らしている……と言えば聞こえがいいが、実際は死にかけの爺の別宅で『飼われている』妾女だ。
ただそのお陰で、爺の子供を孕んだ為に小さな屋敷を与えられ、ディオ達貧民に比べたら夢の様な生活をすごせている。
母やディオに援助をしてくれた点では有難いと思うが、所詮は日陰者の女だ。
地位も自由な金もない。

「姉さん、ああ姉さん!!私を置いて先に逝ってしまうだなんて…」

母の死を伝えに来たディオを前にした叔母は咽び泣いた。

「……ディオ、可哀想なディオ。あんな父親と二人っきりになってしまうなんて」

『可哀想』という言葉に哀れみと蔑んだ、見下したような、叔母のディオに対する感情が透けて見えて、ディオは内心怒り狂った。
この叔母は妾になったことで、自分が貴族様の仲間入りを果たしたと勘違いしている。
いけすかない女だが金蔓だ、グッと我慢するしかない自分が恨めしい。

「貴方を引き取る事は出来ないけれど、出来る限りの援助を約束するわ。私のたった一人の可愛い甥ですもの。姉さんが与えらなかった事を代わりにしてあげたいの、あんな下町じゃちゃんとした教育も受けられないでしょう?もうすぐ私の屋敷で家庭教師を雇うからいつでも習いに来なさい。きっと貴方の糧になるわ、そして…」

悲劇のヒロインぶっている叔母は気に食わないが、使える物は使おう。それが生きる為だ。



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