壁の血文字O
ツンデレなマキちゃんに癒されSAN値を回復した私は、再び東棟の廊下へと走っていた。既に骸骨さんからは件の廊下の怪異が戻っていると聞いている。境ちゃんとて足止めを永遠にできるわけではないのだから、早く脱出方法を見つけないといけない。
無限ループの廊下、正確には赤いインク(原料については考えないことにした)で綴られた文字の前で足を止める。書かれた文字はいつの間にか変わっていた。
知恵比ベシヨウ
「いいけど、それ勝ったら通してくれるの?」
イイヨ。デモ、間違エタラ
文字が再び壁へ染み込むように消え、新たな文字が浮かび上がる。
オ前食ワセロ
「……闇のデュエルかよ!?私残基ないんだぞ!もう一人の私的存在いないんだぞ!?せめて3回は間違えてもオッケーにして!」
1回ダケナラ、イイヨ。ソレ以上ハ駄目
「もう一声!ワンモアチャンス!プリーズ!プリーズギブミ―!」
ハジメルヨ
バンッ
バンッ
バンッ
バンッ
バンッ
バンッ
私の不満に気を止めず、赤い文字は開始を宣言する。と同時に左右の壁に赤い文字が現れる。
誰カガケーキヲ食ベタ
嘘吐キ誰ダ?
「犯人はヤスですね、これ。」
思わず有名すぎるゲームを思い出して呟く。こういう頭を使うのは嫌いじゃないが、面倒臭…
ハズレ!
中央に赤い文字が心なしか嬉しそうに浮かぶ。
ハズレも何も答えてない筈だが…あ!
「違う!今のネタだから!冗談だから!カウントすんなバカ!」
回答権ハ2回マデ
「ああああああああああ!!」
うっぜぇ!この怪異すっげぇウッザイわぁ!
まさかの自分の首を自分で絞めてしまう事態になり、かなり焦る。慌てて左側の赤文字へと目を向ける。
私 ひろこ
私 食べてない
僕 としお
ひろこちゃん 食べた
「よし、こいつらの内どっちかか。」
既に矛盾した二人の回答に容疑者を絞り込む。あとは他の文字の話で確定するだけだ。確率で言えば1/2。つまりは1/2の確率で私は食われる。
……あの時ヤスって言わなければ…クッ…。
後悔しながらも一番左側の文字を読む。
わたし よしえ
二人 食べた
「うげぇ…ややこしくなってきた…。」
右側へと移り、文字を見上げる。
私 あけみ
けんじ君 食べた
「つまり、けんじ君とやらともう一人…。」
それがひろこちゃんとやらかが問題だ。
ぼく けんじ
ぼく 食べた
「知ってるよ!」
あまりにも役に立たないヒントに思わず突っ込む。もっと役に立つ事いえよ、けんじぃ!だからお前はいつまでもけんじのままなんだよ!
一番右奥、最後のヒントへと目を向ける。これで分からなければ最早絶望的だと思ってもいいだろう。祈るようにして文字を読む。でもこの流れ的にあんまり役に立たないヒントが来そうだな…。
ぼく さとる
あけみちゃん 食べた
「Fooooooo!!来たコレ!良くやったさとる君!お前は、けんじと、違うと、信じてたよ!」
コロンビアポーズを決めて中央へと走る。
「嘘吐きは…としおだ!」
某中身はそのままで体だけが小さくなってしまった名探偵のように、人差し指を突き付けながら宣言する。
正解
「やったっ!…うわぁあ!?」
中央にそう浮かび上った瞬間、両側の文字が目玉へと変わり一斉に血を流しながら白目を剥く。いや、としおの文字があった場所だけはまるで眼窩のように血の流れる穴が開いているだけだった。
賢イ オマエ
通シテヤルヨ
イイコト教エテヤル、上ヲ閉ジタヤツ
コノ先ニイル。 自分デ探セ
「お、おう…意外と親切だな。無限ループの時のショートカット帰り道といい。」
ありがたいヒントと共に消えた壁の文字は何も反応を示さなかった。さっさと行けということだろうか?…あ、でも後片付け全部させるのは流石に悪いし、せめて両脇の目玉の血の部分だけ綺麗にしてやろう。
カバンの中に入っていた道具の一つである、ファブリ○ズを取り出して蓋をONへと回す。美術準備室のソファーの消臭用だが、まぁ綺麗にするという意味は同じだし。何か生臭いのだけでも取っておくべきだろう。
「シュシュッとすっきりファ○リーズ〜。」
鼻歌交じりに壁に一吹きした。
瞬間
目ガァアアアアァァァァァ!!
まるでのたうち回るような悲鳴と共に壁の文字が一斉に消えた。
「………。」
手元を再び見る。
"桃の香り"と書かれた緑の包装がされた霧吹き型の消臭剤が私の手には握られている。
もう一度壁を見る。
赤い文字は跡形もなく、ただ年季の入った壁だけが視界に映る。
状況が全く把握できずに首を傾げながら、あの有名すぎるセリフを呟いた。
「…バルス。」
とりあえず先に進もう。
私はこの時知らなかったのだ。
ファブ○ーズは除霊の道具として使われることがあるという噂を。
OBack
ツンデレなマキちゃんに癒されSAN値を回復した私は、再び東棟の廊下へと走っていた。既に骸骨さんからは件の廊下の怪異が戻っていると聞いている。境ちゃんとて足止めを永遠にできるわけではないのだから、早く脱出方法を見つけないといけない。
無限ループの廊下、正確には赤いインク(原料については考えないことにした)で綴られた文字の前で足を止める。書かれた文字はいつの間にか変わっていた。
知恵比ベシヨウ
「いいけど、それ勝ったら通してくれるの?」
イイヨ。デモ、間違エタラ
文字が再び壁へ染み込むように消え、新たな文字が浮かび上がる。
オ前食ワセロ
「……闇のデュエルかよ!?私残基ないんだぞ!もう一人の私的存在いないんだぞ!?せめて3回は間違えてもオッケーにして!」
1回ダケナラ、イイヨ。ソレ以上ハ駄目
「もう一声!ワンモアチャンス!プリーズ!プリーズギブミ―!」
ハジメルヨ
バンッ
バンッ
バンッ
バンッ
バンッ
バンッ
私の不満に気を止めず、赤い文字は開始を宣言する。と同時に左右の壁に赤い文字が現れる。
誰カガケーキヲ食ベタ
嘘吐キ誰ダ?
「犯人はヤスですね、これ。」
思わず有名すぎるゲームを思い出して呟く。こういう頭を使うのは嫌いじゃないが、面倒臭…
ハズレ!
中央に赤い文字が心なしか嬉しそうに浮かぶ。
ハズレも何も答えてない筈だが…あ!
「違う!今のネタだから!冗談だから!カウントすんなバカ!」
回答権ハ2回マデ
「ああああああああああ!!」
うっぜぇ!この怪異すっげぇウッザイわぁ!
まさかの自分の首を自分で絞めてしまう事態になり、かなり焦る。慌てて左側の赤文字へと目を向ける。
私 ひろこ
私 食べてない
僕 としお
ひろこちゃん 食べた
「よし、こいつらの内どっちかか。」
既に矛盾した二人の回答に容疑者を絞り込む。あとは他の文字の話で確定するだけだ。確率で言えば1/2。つまりは1/2の確率で私は食われる。
……あの時ヤスって言わなければ…クッ…。
後悔しながらも一番左側の文字を読む。
わたし よしえ
二人 食べた
「うげぇ…ややこしくなってきた…。」
右側へと移り、文字を見上げる。
私 あけみ
けんじ君 食べた
「つまり、けんじ君とやらともう一人…。」
それがひろこちゃんとやらかが問題だ。
ぼく けんじ
ぼく 食べた
「知ってるよ!」
あまりにも役に立たないヒントに思わず突っ込む。もっと役に立つ事いえよ、けんじぃ!だからお前はいつまでもけんじのままなんだよ!
一番右奥、最後のヒントへと目を向ける。これで分からなければ最早絶望的だと思ってもいいだろう。祈るようにして文字を読む。でもこの流れ的にあんまり役に立たないヒントが来そうだな…。
ぼく さとる
あけみちゃん 食べた
「Fooooooo!!来たコレ!良くやったさとる君!お前は、けんじと、違うと、信じてたよ!」
コロンビアポーズを決めて中央へと走る。
「嘘吐きは…としおだ!」
某中身はそのままで体だけが小さくなってしまった名探偵のように、人差し指を突き付けながら宣言する。
正解
「やったっ!…うわぁあ!?」
中央にそう浮かび上った瞬間、両側の文字が目玉へと変わり一斉に血を流しながら白目を剥く。いや、としおの文字があった場所だけはまるで眼窩のように血の流れる穴が開いているだけだった。
賢イ オマエ
通シテヤルヨ
イイコト教エテヤル、上ヲ閉ジタヤツ
コノ先ニイル。 自分デ探セ
「お、おう…意外と親切だな。無限ループの時のショートカット帰り道といい。」
ありがたいヒントと共に消えた壁の文字は何も反応を示さなかった。さっさと行けということだろうか?…あ、でも後片付け全部させるのは流石に悪いし、せめて両脇の目玉の血の部分だけ綺麗にしてやろう。
カバンの中に入っていた道具の一つである、ファブリ○ズを取り出して蓋をONへと回す。美術準備室のソファーの消臭用だが、まぁ綺麗にするという意味は同じだし。何か生臭いのだけでも取っておくべきだろう。
「シュシュッとすっきりファ○リーズ〜。」
鼻歌交じりに壁に一吹きした。
瞬間
目ガァアアアアァァァァァ!!
まるでのたうち回るような悲鳴と共に壁の文字が一斉に消えた。
「………。」
手元を再び見る。
"桃の香り"と書かれた緑の包装がされた霧吹き型の消臭剤が私の手には握られている。
もう一度壁を見る。
赤い文字は跡形もなく、ただ年季の入った壁だけが視界に映る。
状況が全く把握できずに首を傾げながら、あの有名すぎるセリフを呟いた。
「…バルス。」
とりあえず先に進もう。
私はこの時知らなかったのだ。
ファブ○ーズは除霊の道具として使われることがあるという噂を。
無限ループの廊下、正確には赤いインク(原料については考えないことにした)で綴られた文字の前で足を止める。書かれた文字はいつの間にか変わっていた。
知恵比ベシヨウ
「いいけど、それ勝ったら通してくれるの?」
イイヨ。デモ、間違エタラ
文字が再び壁へ染み込むように消え、新たな文字が浮かび上がる。
オ前食ワセロ
「……闇のデュエルかよ!?私残基ないんだぞ!もう一人の私的存在いないんだぞ!?せめて3回は間違えてもオッケーにして!」
1回ダケナラ、イイヨ。ソレ以上ハ駄目
「もう一声!ワンモアチャンス!プリーズ!プリーズギブミ―!」
ハジメルヨ
バンッ
バンッ
バンッ
バンッ
バンッ
バンッ
私の不満に気を止めず、赤い文字は開始を宣言する。と同時に左右の壁に赤い文字が現れる。
誰カガケーキヲ食ベタ
嘘吐キ誰ダ?
「犯人はヤスですね、これ。」
思わず有名すぎるゲームを思い出して呟く。こういう頭を使うのは嫌いじゃないが、面倒臭…
ハズレ!
中央に赤い文字が心なしか嬉しそうに浮かぶ。
ハズレも何も答えてない筈だが…あ!
「違う!今のネタだから!冗談だから!カウントすんなバカ!」
回答権ハ2回マデ
「ああああああああああ!!」
うっぜぇ!この怪異すっげぇウッザイわぁ!
まさかの自分の首を自分で絞めてしまう事態になり、かなり焦る。慌てて左側の赤文字へと目を向ける。
私 ひろこ
私 食べてない
僕 としお
ひろこちゃん 食べた
「よし、こいつらの内どっちかか。」
既に矛盾した二人の回答に容疑者を絞り込む。あとは他の文字の話で確定するだけだ。確率で言えば1/2。つまりは1/2の確率で私は食われる。
……あの時ヤスって言わなければ…クッ…。
後悔しながらも一番左側の文字を読む。
わたし よしえ
二人 食べた
「うげぇ…ややこしくなってきた…。」
右側へと移り、文字を見上げる。
私 あけみ
けんじ君 食べた
「つまり、けんじ君とやらともう一人…。」
それがひろこちゃんとやらかが問題だ。
ぼく けんじ
ぼく 食べた
「知ってるよ!」
あまりにも役に立たないヒントに思わず突っ込む。もっと役に立つ事いえよ、けんじぃ!だからお前はいつまでもけんじのままなんだよ!
一番右奥、最後のヒントへと目を向ける。これで分からなければ最早絶望的だと思ってもいいだろう。祈るようにして文字を読む。でもこの流れ的にあんまり役に立たないヒントが来そうだな…。
ぼく さとる
あけみちゃん 食べた
「Fooooooo!!来たコレ!良くやったさとる君!お前は、けんじと、違うと、信じてたよ!」
コロンビアポーズを決めて中央へと走る。
「嘘吐きは…としおだ!」
某中身はそのままで体だけが小さくなってしまった名探偵のように、人差し指を突き付けながら宣言する。
正解
「やったっ!…うわぁあ!?」
中央にそう浮かび上った瞬間、両側の文字が目玉へと変わり一斉に血を流しながら白目を剥く。いや、としおの文字があった場所だけはまるで眼窩のように血の流れる穴が開いているだけだった。
賢イ オマエ
通シテヤルヨ
イイコト教エテヤル、上ヲ閉ジタヤツ
コノ先ニイル。 自分デ探セ
「お、おう…意外と親切だな。無限ループの時のショートカット帰り道といい。」
ありがたいヒントと共に消えた壁の文字は何も反応を示さなかった。さっさと行けということだろうか?…あ、でも後片付け全部させるのは流石に悪いし、せめて両脇の目玉の血の部分だけ綺麗にしてやろう。
カバンの中に入っていた道具の一つである、ファブリ○ズを取り出して蓋をONへと回す。美術準備室のソファーの消臭用だが、まぁ綺麗にするという意味は同じだし。何か生臭いのだけでも取っておくべきだろう。
「シュシュッとすっきりファ○リーズ〜。」
鼻歌交じりに壁に一吹きした。
瞬間
目ガァアアアアァァァァァ!!
まるでのたうち回るような悲鳴と共に壁の文字が一斉に消えた。
「………。」
手元を再び見る。
"桃の香り"と書かれた緑の包装がされた霧吹き型の消臭剤が私の手には握られている。
もう一度壁を見る。
赤い文字は跡形もなく、ただ年季の入った壁だけが視界に映る。
状況が全く把握できずに首を傾げながら、あの有名すぎるセリフを呟いた。
「…バルス。」
とりあえず先に進もう。
私はこの時知らなかったのだ。
ファブ○ーズは除霊の道具として使われることがあるという噂を。