無限に続く廊下O


閑話休題。
学校の七不思議を知っているだろうか。
元々は学校が多く建てられた高度経済成長期に、校舎を建てるのに適した安い土地=事故物件という事が数件重なり、そこに怪異譚が加わったのが切っ掛けだ。
まぁ、定番で行くなら「トイレの花子さん」や「テケテケさん」「理科室の怪」といった所だろう。
ただ、七不思議は厄介なことに学校の建てられた地域によって変化する。例えば、廊下を徘徊するのは「テケテケ」さんではなく膝から下だけだったり、トイレにいるのが「花子さん」ではなく「青い紙・赤い紙」だったり「ヨジババ」だったり。大概の場合、奴らは同じ名前の付く場所に1人以上いないし。別の場所に同じような怪異が現れることもない。
正直、夜になった瞬間トイレに怪異が集まったり、キャラがかぶってるやつが別々の場所にいたらホラーじゃなくてギャグになりかねないからそれは当たり前かと思うが。

そして、私が何を言いたいのかというとだ。

「無限ループって怖くね?」
【コワーー(((( ;゚Д゚)))ーーッ !!!】


話は数分前に戻る。

境ちゃんという仲魔(誤字じゃない)をゲットした私は意気揚々と2階へ上がった。そのまま端から探索するかと二人で左側の廊下を進んでいたが、一向に先が見えない。教室がない廊下がずっと先まで続く中、いい加減おかしいなと気づいた私が壁を見た時、ようやく気付いた。

ドコニモ行ケナイヨ

あ、これ完璧無限ループですわ。
肩を落としながら、来た道を戻ろうとすると見慣れた階段がすぐ近くにあった。

・・・。
「戻るとき親切設計にしてくれるなら最初から悪戯しないでよ!!」
【そうだそうだ!】
壁をバンバン二人で叩くが、赤文字は何の反応も返してこなかった。

仕方ないのでトイレはそのままに、階段を上がる。

「……境ちゃんはさー、誕生してもうどのくらいになるのー?」
【えー?亡者が作った廃校の備品として生まれたから、大体一ヵ月くらい?】
「え、超若いじゃん。」
【でもモデルがいるから、そっちはー数十年はいってるかもー(*ノノ)キャ】

うん、何やってるんだろ私たちとは思ってる。多分境ちゃんもそう思ってる。だって今死んだ魚の目してるもん、私の顔で。
でもこれは仕方ないと思うんだ。だってさ

「階段、ループしてね?」
【これじゃ私、自分の縄張りに戻れないだけど。】

先ほど見たばかりの廊下に二人して頭を抱えた所で、冒頭に戻る。

【ねぇ】
「どうしたの境ちゃん」
【足音する。】
「………え?」
話すのをやめて、耳を傾けることに集中する。

トン、トン、トン…

何かが歩いてくる音が背後からした。
「………。」
そーっと後ろを振り返る

そこには

膝から下だけの赤い脚が一組立っていた

「…すいません、上半身今私使ってるのであげれません。」
【別に要求されているわけじゃないから。】

キャハハハハハハ!と膝から上が内にも関わらず笑い声をあげる脚。

「境ちゃん、何これ。」
【臆病な目立ちたがり。私はそう呼んでる。あとループの廊下の犯人多分こいつ。】
「貴様かぁああああ!!」
スタートダッシュと共に脚を追いかける。

向日葵は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の脚を捕まえなければならぬと決意した。向日葵には怪異の事情が分からぬ。されど彼女のゲーム脳は脚を倒せば進展があると告げていた。

キャアアアアアアアと笑っていた筈の脚が悲鳴を上げて逃げていく。必死に追いかけるが程よく引き締まった脚は随分と鍛えられているようで非常に速い。一方の向日葵は一般的と言えど、文化部所属の一般人。早々に逃げられてしまった。

「ゼー…ハー…逃げ…ゼー、られ…ハーゼー…た。」
膝に手をあてて必死に呼吸する向日葵に後ろから小走りで追いかけてた鏡が追いついた。
【初めて見たよ、人間に追っかけられて悲鳴上げる怪異。ちょっと可哀そう】
「ハー…ざまぁ。」
同じ怪異に同情されるとか。
ねぇ、どんな気持ち?ねぇ、ねぇ、今どんな気持ちぃ?

私の息が整ったところで、周りの教室を探索してみることなった。目的である理科室は一番最後である。

「……あ。」

黒板のチョークや黒板消しを置く板の部分、粉受けと呼ぶらしいそこには小さな鍵が一つがあった。

【鍵?】
「うん、家庭科室のっぽい。」
【家庭科室はこっちの棟と理科室の間の廊下の先にあるよ。】
「行ってみるか。」

何やら物色していた境ちゃんが考えてる。

【家庭科室かぁ、先に理科室に行ってもいい?アイツに話しを聞いておきたい。】
「理科室か…別にいいけど、知り合いでもいるの?アルコールランプとかも借りれるかな?」
【うん、多分この階についてはアイツが一番詳しいハズ。ランプはライトにでもするの?】
「今は比較的電球がついてるから明るいけど、いつまでもそうとは限らないから…。」
【それも聞いちゃおう、理科室の主らしいからランプの場所も分かるだろうし。】
「主?」
【うん。見ればわかると思う】

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