ガーランド×セシル


セシルを見て、ガーランドは興味がなさそうに背を向けた。

「相変わらず冷たいですね」
「優しくする理由がなかろう」
「優しくして欲しいんです。何かにずっと縛られている貴方に」
「なに?」

ガーランドを何と呼べばいいのか、セシルはいまだに見つけかねていた。呼び捨てでも、さん付けでもガーランドはさして気にしたりしないろう。そんなことを気にしているのはセシルだけだと分かっていても、まだ呼べない。
明らかに声色を変えてガーランドが振り向いた。
にこりと音がしそうな笑みを刻んで、セシルは言う。

「そんな風に見えます」
「だから何だと言うのだ」

まずは自分の気持ちを知って欲しい。
ガーランドにないがしろに扱われるとセシルの心は軋むのだと。
セシルは表情を崩さないようにガーランドへ歩み寄って、そっとガーランドの心臓の位置を指さした。

「僕の入る余地を、ほんの少しでいいからくれませんか?」

見上げると、ガーランドは無言でセシルを見つめ返していた。
一瞬だけセシルの指へ視線を落としてから、また背を向ける。

「――勝手にするがいい」

小さく呟いたガーランドの声を、セシルは都合よく解釈することにした。




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