ゴルベーザ×ガーランド


染まり、染まる


声を、気配を押し殺し、強大な闇をひた隠す。(控えた光は亡きものとし、曇りのない漆黒を迎え入れた)
自ら作り上げた偽りの王座に君臨した彼の手を取り、忠誠の口付けを落とす。
揺れた空気は僅かな振動をもってゴルベーザに意味を持たせた。
傍にいるだけで良いのだと、利用される事を望むなど、愚かな願いであるのに。それでも構わないと思う心は理をねじ曲げており、自身でも理解不能だ。

「そなたは歪な眼で何を視るのか」
「何もかもをだ、ゴルベーザ」
「身を滅ぼす事に繋がるとしても、踏みとどまる決意は無い、か」
「ふん」

嘲笑は面を通り抜け、僅かな焦燥を握るゴルベーザに向かう。
操り人形を彷彿させる緩慢な動きで立ち上がるガーランドの足は、既に朽ちかけ闇色に霞んでいた。

「笑わせるでない。我々に決意など元より必要なかろう。まるで意味の無いことよ」

殊更大義名分など、滑稽なだけだ。そんなものの為にこの身を捧げたわけでは無い。
ゴルベーザは唇を噛む。
どう足掻いたとして、彼が自分のものになる事は無いと悟った。
ならばせめて最期の時まで傍で見守ろうか、嫌がるだろうが追い払いはしないだろう。
面の奥で闇を見詰める瞳に己を重ね、救いを必要としない色に頭を垂れた。





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