WOL×オニオンナイト


光の戦士さまは、冗談なのか本気なのか分からない顔で、こう、言ってのけた。

「もし、私から一本とることが出来たら、今夜の夕食のメインであるカラアゲを、一つ君に譲ろう」
「子供扱い止めて下さい!!」

最早本能的に叫ぶオニオンだったが、彼には当然悪気はないし、最もオニオンを一人の戦士として扱っている仲間の一人だった。
既に彼は盾無しアイテム無しのハンデを負っていたが、それは子供扱い云々でなく実力差なので問題ない。

「そ、うか……。私は嬉しいのだがなカラ、アゲ……」

カラアゲが増えることが……?
オニオンは理解し難く、ウォーリアの顔を見たが、真面目な表情からは何を考えているか良く分からない。
それを自覚しているのか、最近の彼は、考えていることをきちんと言葉で伝えるようにしているらしい。

「ただ、君の集中力が切れてきているようだったので、もう一本は粘ってもらいたいと思ったのだ」

うぐ。確かに魔法の精度が下がってきている。痛いところを突かれてしまったが、そんなことなら他に方法があるだろうと言い募る。

「そんなんじゃやる気でませんよ!他のがいいです!」

つい最近まで、オニオンはそんな聞き分けのないことを言わず、集中するよう努力しますからもう一本お願いします、で済ませたが、今はもう仲間として気安くなった。ちょっとした我侭も、悪戯も、しても良い人なんだと理解した。

「他の?」
「あ、じゃあ僕が勝手に今決めたので、それでものすごくやる気出たので、もう一本いきましょう」
「つまり一本とられたら、私は君の決めたことに従う、ということか?」
「そうです。問題ありませんよね?」

オニオンが、不敵に笑って剣を構えると、首を傾げていたウォーリアも、ふ、と笑みを零して構えた。決まりだ。
オニオンは自分の集中力が高まるの感じ、それを逃すまいと剣を構えた。
要求はただ一つ、彼から祝福のキスをもらうこと。




prev | next


「#寸止め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -