カイン×WOL

title:共に



―――どうして自分はよりによってウォーリアオブライトを共犯者としたのだろう。

カインは森の中を翔けながら思う。

ガレキの塔で出逢い、自分が手に入れ自分なりに新たに解釈したこの世界の真実を話した。彼は驚いていたが、直ぐに事態を理解して動いてくれた。



『仲間を頼む。私は、コスモスの傍に居よう…カイン、無事に目的が果たせる様に』



そう言い、カインに背を向けて、彼は聖域へと戻る道を進んで行ったのが数刻前。



カインは自問自答する。

そうこれは神への背信行為、裏切りだ。

他にも頼りになる相手は居た筈なのに。

彼に裏切りと言う罪は似合わない。

いくら仲間達は自分達の事を忘れるとは言え、彼にとっては耐え難い行為の筈だ。

あの神々しいまでに眩しい光が自分の持ち掛けた事で、忘却されるとは言え、穢れる、堕ちる―――!



「っ……!」



カインは無理矢理走っていた脚を止めた。膝が僅かに軋み、地面が抉れる。



「はっ………」



呼吸を整える。

空を仰げば、木漏れ日。



―――そうだ、自分は彼が断らないと判って持ち掛けた。

この残酷な真実に彼は誰よりも心を痛めると解っていた。

そしてこの裏切り行為に手を貸してくれると知っていた。

全ては仲間と、コスモスの為に―――!



「……………」



カインは冑を外して片手で自分の顔を覆う。



―――罪に穢れた自分に彼は相応しくない。

だけど彼が何よりも欲しかった。

そんな彼を堕としたかった。

自分の居る所まで。

そうすればほら、こんなに彼が近くまで。

例え忘れられたとしても、この時は誰にも譲れない―――!



「戦士よ、俺はどうやら……どんな形でも良いからお前が欲しかった様だ」



自問自答の答えは、単なる醜い己の欲望。

嗚呼、自分が笑っているのが判る。

これからの展開に、期待をしている。



その笑みを隠すようにまた冑を被ってカインは走り始めた。






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