WOL×カイン
君が歩く道を照らすような光になりたい。
ひどく真摯な眼をした戦士は、その瞳の光を灯したままそう言った。
居心地が悪い。
唇を噛みしめながら俯いて、カインは首を振った。
自分が歩む道なんてあってないようなものだ。
それを彼はどうやって照らすというのか。
自嘲気味に笑いながら言えば、彼はそんなことは簡単だと微笑む。
いつも無表情を通す彼の笑みは本当に珍しいもので、思わずカインはそのまま見つめてしまう。
「私が君と共にあればいい」
「…は?」
それはなんだプロポーズか。
あほか、あほなのか。
呆然と輝く眼を見つめる。
残像が残ってしまいそうなくらいのそれはひどく眩しかった。
「…嫌だ」
「なぜだ?」
「眩しすぎるんだ、あんたは」
隣にいたら眼が見えなくなってしまう。
苦笑しながら言うと、彼は少しだけ傷ついたように眼を伏せた。
天然混じりの戦士様には冗談が通じないらしい。
本気で悩みはじめた彼を眼を細めながら見つめていると、やはり光を乗せた瞳がこちらを向いた。
「どうした?」
「…眩しいと言うわりにはこちらを見るんだな」
「ただの比喩だ。気にするな」
そう言ったところで、カインは自分に白い手が伸ばされていることに気づいた。
その手はまぎれもなく彼の手で、意味がわからないと首を傾げる。
「私が先行しよう」
やはり私は、君の灯火になりたいようだ。
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