WOL×ゴルベーザ
不思議そうな顔をして、光の戦士は晒されたゴルベーザの顔を覗き込んだ。
「逃げるつもりならば何故来た、ゴルベーザ」
そう、ゴルベーザの背には壁。
二人で話がしてみたいと誘われ、のこのこ出向いて、顔を見せてくれと頼まれた。そして顔を覆うものを外した。ここまではいい。
しかしこの勇者さまは真っ直ぐと、しっかりと、そしてやや近すぎる距離で顔を見てきたのだった。
耐えかねて後ずさる。しかしそうすればますます彼は顔を近付けて来る。そして冒頭の台詞というわけだ。
どう返答したものかと悩む間にも、真っ直ぐは、圧力としてそこにある。ゴルベーザはとうとう顔を背けた。
「眩しすぎるのだ、そなたの目は」
結局本音を搾り出すと、勇者は瞬いた。それから首を傾げる。
「では目を閉じてくれ。私もその方がしやすい」
「……」
何をと問いかけて止めたゴルベーザは、さっさと兜をかぶり直した。
多分、違うはずだ。けれど、なんだか怖いのは事実だ。
光の戦士はそんなゴルベーザを見て、どこかつまらなそうに言った。
「私が口付ければ、お前に光を与えられると思ったのだが」
どうしてそういう発想になるのだ。
ゴルベーザはずるずると壁に背をずらせて座り込む。
まったく……、口付けられた箇所から、熔けてしまう可能性だってあるだろう。
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