クジャ×WOL
title:自分の隣に立つなら、完璧にして貰わないと
ボサボサの痛んだ髪を癒す為にトリートメントを施して優しく櫛を通せば、青を混ぜた様なその銀髪は本来の輝きを取り戻し、風に更々と靡く様になった。
戦闘に寄る砂埃で汚れた身体や顔を清めてやれば、その驚くくらい白い肌の美しさが戻った。
ここに化粧を施して豪奢な服を与えれば、なんて野暮な事はしない。本当に美しいものと言うのは余計なものは要らない。
「さぁ、出来たよ」
彼には新品の様に磨き上げたいつもの甲冑と、同様に磨いた武器と盾を渡し、唯一新調した全く同じ素材で作った同じ色のマントを纏って貰った。
そして大きな姿見の前に立って貰った。
「……………」
彼、ウォーリアオブライトはその綺麗になった自分を見て、眼を瞬かせ、鏡の中に写っている自分を見つめていた。
「僕には劣るけど、君は本来とても美しいんだ…だからね、こうして全てを限界まで洗練すれば君は本当の意味で輝けるんだよ」
クジャは彼の隣に立ち、満足そうに言う。そしてウォーリアの頬に手を添えてそっと自分の方に顔を向けさせた。
「嗚呼、本当に美しいね…君はやっぱりあんな戦闘馬鹿や、コスモスには勿体無いよ」
うっとりと眼を細めて、溜息を漏らす。我ながら完璧だ。
「ねぇ、キスをしても良いかい?」
「………ああ」
その言葉と共に、そっと眼を閉じるウォーリア。長い睫毛も、髪と同じ色合いの銀だ。
クジャは彼の首に腕を回し、そっと唇を重ねた。
「…愛しているよ、僕の光」
唇を離して、そっと囁く。
「ならば私は君を、照らし続けよう」
クジャの塗った口紅が僅かに付いた唇でウォーリアはそう言い、今度は彼から唇を重ねた。
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