ガーランド×クジャ

 気に食わない。子供染みていると自分でもわかっているのだが、それでも気に食わない。
 いっそのこと無視でも決め込めば良いものを、どうしたって視界にちらついてしまう。今だって彼は目の前にいる。
「一向にわからん。わしのなにが不満だと言うのだ」
 無骨な鉄仮面の下にある表情はわからないが、声色がとても沈んでいることはわかる。それはそうだろう。なにせ彼はことあるごとに僕から避けられてしまっているのだから。
「やはり、わしの名前のせいなのか」
 図星をさしてくる悲しげな声。馬鹿馬鹿しい理由だと、きっと呆れているに違いない。ますます苛立ちが募る。自分自身への苛立ちが。
「そうか」
 明るくなる声色。彼はなにを思ったのか突然鉄仮面を外した。現れた顔に見惚れる僕。
「顔が見えればわかるだろう。わしはわしだ。その男とは違う」
 当たり前でいて説得力のある彼の言葉に、僕はただただ頷くばかりであった。



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