クジャ×セシル


はっきり言って、とクジャは面倒臭さを隠そうともせずに首を振った。

「僕は君が嫌いなんだ。お節介も大概にしてくれないか」
「僕を嫌いでも構わない。でも、本当はジタンのことが気になるんだろう?自分を誤魔化してちゃ駄目だ」

だからそれが余計なお世話だと言っているのに、何故目の前の男には微塵も伝わらないのだろうか。聡明そうに見えるのは顔だけで、理解する能力がないのか?

「いいかい?僕はジタンと歩み寄りたいんじゃない。壊してしまいたいのさ、粉々になるまでね。
――これ以上何か言うようなら、ジタンの前に君がそうなるだけだ。翼の折れた鳥になってしまう前に、早く消えなよ」

クジャ自身、感心するくらいの冷たい声が出た。心からセシルが鬱陶しいのだと再確認出来る声だった。
誰が聞いてもクジャがセシルに興味を持っていないのが分かる声だったというのに、セシル本人には全く意味を成さなかったのが腹立たしい。

「断るよ」
「口で言っても分からないみたいだね」

クジャがセシルに手のひらを向けると、セシルは剣を構える。
戦いたいわけではないのに、という顔をセシルがした。
けれどクジャの思いを一つも汲み取ろうとしないセシルに対して、クジャが彼の思いに耳を傾ける必要性は、絶対に、ない。




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