フリオニール×セフィロス

何の前触れもなくフリオニールに手を握られてしまい、僅かに驚いたセフィロスはそれを振り解くのを忘れてしまった。
改めてそうしようとしても、強く握られた手は簡単に離してくれそうもない。
セフィロスが離せと言おうとフリオニールの方を見ると、ちょうど彼は一人で頷いているところだった。

「少し歩こう」

言おうとしていた一言を何故か飲み込んでしまう。
セフィロスの返答を待たず、手を繋いだ状態でフリオニールは歩き出した。
弾んだ会話が交わされるわけもなく、ただ二人分の足音だけが耳に届くだけの何とも滑稽な散歩をしばらく続ける。
周囲の景色を楽しむ気分にはならなかったけれど、今更この手を離そうとも何故か思えなかった。

「俺は」
「……何だ」

ふと、ぽつりと落とされたフリオニールの声が聞こえて、セフィロスは無意識に次を促してしまう。
セフィロスが何か言ったのが嬉しかったのか、フリオニールは顔をセフィロスの方へ向けた。微笑んでいた。

「俺は、貴方をもっと知りたいと思ってる。だから少しずつでいいから教えてくれないか?」
「……」
「何でもいいんだ。話をしよう、セフィロス」

緊張しているのだろう、これ以上強くなりようがないほどにフリオニールの手を握る力は強まっていた。
下らないと一蹴すればいいだけのことなのに、それが出来ない。
このまま手を繋いでいると、緊張が伝染してしまいそうだった。
お前といると調子が狂う。セフィロスがそう零すと、フリオニールは嬉しそうに柔らかく笑った。



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