セフィロス×皇帝
セフィロスは無人の駅のプラットホームにいた。
三人がけのベンチに座り呆けている。
つい先刻までの記憶が脳裏を掠め、線路は金色に様変わりした。
(白昼夢のよう)
彼にしては珍しい情緒的な例えに薄い唇を歪め、足を組んで体制を整えた。
最終列車を向かい入れ、停止音が甲高く鳴り響く。
カツ、カツ、思わせ振りに降車する影がひとつ。
迷わずセフィロスへ歩んで行った。
ぴたりと止まった金色に白昼夢は現実だと悟り、うっそりと見上げる。
「まだこんなところにいたか」
「ここは…」
「知らぬ、だが貴様は自害を」
セフィロスが無造作に立ち上がったことによって言い終える前に言葉は切れた。
「泣くな」
「………自惚れを」
渇いた目元を黒い革素材に包まれた指がたどる。
皇帝は目蓋をおろし、涙をこぼした。
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