オニオンナイト×セフィロス

立ちはだかって来た少年は、セフィロスにとっては余りに小さな壁だった。
目の前に立たれたところで彼に対して何か感想を持つことはなく、セフィロスは少年を避けて通り過ぎようとする。
だが、少年の方は何とかしてセフィロスを立ち止まらせたいらしく、とにかくセフィロスの正面に立ちはだかろうといちいち移動してくるのだった。
何もせずに通過するつもりだったが、障害となるならば話は別だ。
セフィロスは目にも止まらぬ速さで刀をひと振りし、目一杯両手を広げている少年の兜を彼の後方へと落としてみせた。
はらり、少年の前髪が後を追うように散っていく。
オニオンナイトは驚愕で目を見開いたがそれも一瞬のことで、すぐに強気な微笑みを取り戻した。
子供らしからぬその表情から溢れる勇敢さがセフィロスを僅かに苛立たせる。
力ずくでどかせようと、セフィロスは手を伸ばしてオニオンナイトの頭を掴む――はずだった。
しかし実際は、伸ばした腕の手首をオニオンナイトの両手が掴んでいる。
力比べならセフィロスの方が上だ、分かっているだろうにオニオンナイトは指を震わせながらセフィロスをこの場に止めようとしていた。

「……何がお前をそうさせる」

じわじわと少年の頭にセフィロスのてのひらが届きそうになっている中で、抑揚のない声でオニオンナイトに問う。
ピンチに陥っている状況だというのに、オニオンナイトは作った笑みをひとつも崩さずに、自信満々にこう言った。

「愛さ」



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