フリオニール×ジェクト
情熱の花は枯れない
精悍な顔つきのまだまだ青く若い好青年の薄い色の瞳に熱が籠っている。ジェクトはフリオニールの若い獣のような愛情表現に正直に言えば、辟易している。好意を向けてくれるのは構わない。ただ、激しいのだ。情熱的で愛情深く、ジェクトのことを常に想っている。しかし想い人の方はとうにそんな年齢を超えていて。ジェクトはスローで遊びのある付き合いを好んでいるので、そんなフリオニールを大人しくさせられないかと考えた。
「ジェクトが俺に会いに来てくれるだなんて」
嬉しい、と熱い溜息まじりに頬を染め嬉しそうに目を細めるフリオニール。ジェクトは困ったように笑った。
「ちょっと話があってよお」
もう少し、大人しく愛を語ってほしいと正直に告げる。フリオニールは寂しそうな顔をした。しゅんと悲痛に顰められた眉に罪悪感を感じるが、ジェクトは今後のことも考えれば、もう少しゆっくりで良いのではないかと思う。フリオニールはそんなジェクトの気持ちを想い、分かったと大人しく頷く。
「ゆっくり、ゆっくりだな?」
確かめるようにそう囁く。ぐっと距離を縮めてくるフリオニールに、ジェクトはぎょっとした。
「お、おい、俺のお願い聞いてくれてなかったのかよ」
焦って迫る彼の胸を押し返すが、尚も距離を詰めてくる。フリオニールの腕がジェクトの腰を抱き、薄い褐色の手が濃い褐色の頬を優しく撫でた。
「ゆっくり、あなたを解かせてみせる」
ゆっくりとそう耳元で囁くと、またゆっくりと口付けてくる。そういう意味ではなかったのになあとジェクトは思いながらも、フリオニールの新たな一面にどきりとした。
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