フリオニール×カイン

沈む太陽を睨む大地の瞳は、幼いくせに何もかもを包み込むような寛大さをもっていた。
気に入らない。
カインは唇を噛みしめる。
苛立ちにまかせて舌を打てば、隣で太陽を見つめていたフリオニールがこちらを向いた。
陽光に反射する銀色が眩しい。

「どうかしたのか、カイン」
「何もない。行くぞ」
「あ、ちょっと待て!」

がしっと手首を掴む手はまだまだ余っていて、彼の手の大きさが見て取れる。
もしかしたら自信の手首が貧弱すぎるだけなのだろうか。
また一つ苛立ちの理由が増えてしまったようだ。

「どうかしたのか」
「もう少しでいいんだ。…夕陽を、見ないか?」
「…勝手にしろ。俺は行く」

手首を掴んでいる手を振りほどこうともがいたが、案の定それはがっしりと自信のそこを掴んでいてなかなか離してくれない。
ため息をついて、カインは離せと意思表示しながらフリオニールを睨みつけた。
しかし、フリオニールはたじろぐこともせずにカインを見つめ返す。
彼の大地の色をした眼は苦手だった。

「お前と一緒にみたいんだ」

陽光に反射して煌めくカインの髪は、とてもきれいだから。
ふわりと幼さの残る笑顔と一緒に言われたそれに、カインは顔が熱くなるのを感じる。
どうしようもなくこの現状が恥ずかしいものに見えてしまって彼は俯いた。

「…か、勝手にしてくれ」




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