ラグナ×オニオンナイト
ラグナと二人旅というかなり心細い状況で、当のラグナが何やら言い出した。
「オニオン先生!買い食いがしたいです!」
かいぐい。
オニオンはふわふわ浮かぶモーグリとラグナを見比べて、この発言に悩んだ。
あれ、そういうこと言うのって逆だよね?普段自分のことおじちゃんとか言ってなかったこの人。
オニオンの当然の疑問にも気付かずに、ラグナは期待に満ちた目でオニオンを見ている。
「オニオン、アイスは嫌いか?」
「あんまり食べたことないと思う」
アイスクリームのことだろう。モーグリショップはそんなものまで扱っているのかと思うと、
「君たちの記憶を元に仕入れることができるクポ!」
と、自信満々の様子である。
つまり、ある程度記憶を取り戻した人間のいる世界のものは仕入れられるということか。
そしてきっとアイスクリームの記憶を明確に持っているのはこの男、というわけだ。もっとましなことが思い出せないものか。
「じゃあチョコとイチゴ、一つずつ!」
「ちょっと!僕はいいなんて言ってないよ?」
「かたいこと言うなって」
オニオンの沈黙を前向きに受け止め、ついでにメニューも勝手に受信したらしいラグナは、さっさと二つの、棒に刺さったアイスを受け取っていた。
そして問答無用で、ピンク色をした方をオニオンに押し付けてくるのだった。
「……もう、勝手なんだから」
「まあまあ、たまにはってことで」
オニオンは舌先でアイスをちろりと舐めて、その甘さに確かに心がほぐれることを確認した。
が、肩を落とす。
「それでも迷子の事実は変わらないよねぇ」
「……うん」
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