ラグナ×カイン
フンフンと調子はずれな鼻歌は実に軽快で聞いていて楽しい。
気を抜けばこちらも口ずさんでしまいそうで、カインはブンブンと首を振った。
兜を外して小脇に抱えると、ちょうどこちらを振り向いたラグナと眼が合う。
珍しそうに見開かれた青い眼は完全にカインの金色を映している。
しまった。
思いっきり眉を寄せると、彼は一瞬置いて苦笑する。
それほどこの素顔が珍しいのだろうか。
黙りこんで考えているカインになにを誤解したのか、ラグナは慌てたようにこちらに歩み寄ってきた。
「いや、悪いなカイン」
「何がだ」
「えーっと…、うん!すまん!」
「だから何がだと聞いているんだが…」
はぁ、とため息をつきながら前髪をかき上げると、ラグナの目線がカインの指先を追った。
まだ何かあるのだろうか。
首を傾げると、ラグナはハハと決まり悪そうに苦笑する。
「カインってきれいだよなーって」
「…そうか」
「え、怒んない?」
「別に」
男として生まれたからにはそんな言葉は褒め言葉にはならないのだけれど、ラグナのようすはこちらをばかにしているようなものではない。
それがわかっているだけ、カインは彼の言葉を否定も肯定もできなかった。
いや、むしろ。
「…悪い気は、しない」
「え?」
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