コスモス×皇帝
皇帝は鮮やかな色彩を好んだ。
白だの黒だの、増して灰色などもっての他だった。
カオスが根城とする煉極が焔色に焼かれる様はその趣向を満たす華美。
(素晴らしい)
皇帝はうっとりと夢見心地に目を細める。
ちかり、脳の奥が発光する倒錯をおぼえ、ならず者の介入に眉をひそめた。
真新しい記憶。
秩序の戦士を葬れと、まるでこちらを操るような物言いをした女神を想起する。
あなただから……と女の色を唇にのせたのだあの、光から生まれたような清廉が。
皇帝が厭うはずである色素の薄い光色。
それがアルティミシアにも劣らない色香で秩序の戦士を消滅に促した。
――美しかった。
ちかり、ちかり、光は徐々に大きくなる。
焔色に染み込んだ真っ白い一点が四方に滲み燃えている。
煉極をも燃やす白に目を焼かれ、皇帝は、それが最も鮮やかなのだと。
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