暗闇の雲×コスモス
行き場のない揺らぎを乗り越えて、よいしょ、掛け声が響く空気はどこかへ去った。
普通の、呼吸をする戦士ならば生き絶えていただろう真空に妖魔が乗り込んだのは他でもない、いつもの好奇心。
「わしから逃げようなんぞ4000年早い」
「あら、逃げようなんて思っていませんよ、ちょっと散歩を」
「つまらんぞこの場所は」
「良いのです」
良いのです
女神の返答は決まっていた。
決まって完結を示した。
妖魔は口を尖らせて黒紫の鬱屈とした雲をおびき寄せ、潜り込む。
拗ねているようだ。
つまらないと妖魔は嘆くが、空気をなくしていたのはコスモスの所業だった。
つまりはそういうことだった。
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