プリッシュ×セシル
心があって言葉がある。伝えることはとても大切だとプリッシュでも分かるのに、どうして人間は時に心を閉ざしてしまうのだろう。
「ばっかだなー」
心底呆れた声でプリッシュが言うと、セシルはさみしそうに笑って、弱々しく頷くのだった。
それからそうっとプリッシュの背後に寄って、小さな体を抱き締めた。
肩にセシルの額が乗っているのを感じながら、プリッシュは大きく溜息をひとつ。
「お前の気持ちなんか全然分かんねえけど、とりあえず誰かと一緒にいたいってのは分かるから、肩は貸してやるよ」
セシルが顔を上げた気配がする。ふわふわと色々な方向に伸びている髪がプリッシュの首を擽った。
「誰かじゃなくて、君じゃないと駄目なんだよ」
「…そーかよ」
いらないことはきちんと喋る口だなと、プリッシュはまた呆れた。
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