フリオニール×ガブラス

テントの外には俺が知っている空が広がり、木々からはさっきまで降っていた雨の雫が滴り落ちていた。
この世界を俺は知っている。
でも別の日常をおくっていたはずなんだ。
そこには多分愛は存在していなかったけれど。
その誰かを心の底から信じていたわけではないけれど。
それでも、傍にいて苦痛だなんて思ったことはなかったよ。
開けると夢が叶う魔法の小瓶や、空けて幸せになる悪魔の居場所や、明ければ希望が持てる太陽とか。
そう言った類と何一つ違わない、たった一つのもの。
そして現実だった。
歪な歌のように、取り返しのつかない結果を迎えたある日。
大事な何かを失ったことを思い出し、森の中を走り続けた。
どこに何を置いたのかも忘れ、例え覚えていてもきっと俺は何もしなかった。
忘れたからこそお前を探しているんだ。
さっさと出て来いよ。

「……ガブラス」



prev | next


「#学園」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -