セシル×ガブラス
底無しの穴の底に立っているような気分だった。
あるはずのない暗闇に潜んでいる気でいた。
憧れの真似事。
地獄を味わう振りをして酔っていたかった。
虚しさに浸っていたかった。
「共感をしたいんじゃない」
セシルは正面を見据えてガブラスを視界から外した。
オーバーラップ、セシルはガブラスの闇の根元を知りたいと。
それは彼自身を知ることで気に食わない。
ガブラスは思うが、会話を成り立たせれば相手の思うつぼだと、セシルを憎む振りをした。
セシルはセシルで見えない相対を愛する振り。
…悲劇に泥酔を。
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