カイン×ガブラス

カインはガブラスの目を見て静かに、慎重に言葉を選ぶ。
しかしその真摯さが逆にガブラスの神経を煽った。

「貴様は…!」
「疎まれても構わない、恨まれても良い、忘れないでくれ…俺はお前のためには生きられんが誰よりも生きていてほしい」
「それがお前の正義か…」

カインは石つぶてが落ちて出来た傷を数回見て、その小ささに幻滅。
ガブラスはいつの間にか目を閉じていて、カインはそれを見て心を痛めた。

「可哀想な男だなガブラス……俺の為に生きられるなら、泣くことなんかなくなるものを」

カインから視線を外し、ガブラスは無表情のまま微動だにしなくなった。
寒さの風は吹き荒れ、惨事のあったがらん堂からはしかし何も飛んではいかない。
忘れるなとでも言いた気に吹きすさぶ。

「………………最悪な気分だ」
「奇遇だな……俺もだ」




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