エクスデス×オニオンナイト

弱いくせによくもまあ必死で戦い、逃げ惑うものだとエクスデスは感心した。
煙の中に消えていったオニオンナイトの小さな背中を、必死で追おうとは思わない。いずれ消え行く運命の者。
ならばそれこそ放っておけばよいのだが、ここに呼ばれた理由が世界を混沌に導くというものなのだから仕方ない。エクスデスは破壊の意志に真面目なのだ。
だからこそ、オニオンナイトがかわいそうだと思う。
こんなくたびれて滅ぶだけの世界に呼ばれてしまって。誰よりも永くまばゆい未来を生きられる可能性を持った子供なのに。
だからこそ、オニオンナイトは幸運の持ち主だと思う。
元の世界では誰しもが物語の英雄のように偉大に死ねるわけではないが、ここでは誰もが悲劇的な英雄なのだから。
いかんな、とエクスデスは思考を止める。
大体にして人間の悪意というものは感傷を含みすぎる。エクスデスの体の元は木なので湿り気は必要だが、こう多くは体に悪い。
エクスデスはその身のうちに潜む誰かの真似をしてため息をついた。
あの子供の可能性を奪うのは、もしくは与えるのは、自分の役割なのだろうかと疑問に感じて。



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