ティファ×オニオンナイト
悪気がないのだから、困っている。
自分が大人になって許してあげればいいのだが、そこまでは中々達観できない。
だってオニオンはティファのことが、男として、気になっているのだから。
「ありがとうオニオン、気をつけて運んでね」
「……このくらいへーきだよ」
そして微笑むティファは、さすが男の子ね、とでも言いたそうに満足げなのだから、オニオンはため息の一つでも吐きたくなる。
持たされたのは人数分の取り皿。確かに量は多いが、そこまで重くない、自分の身体能力からして。
子供に持たせるものにしては重いのかもしれないけど!
ティファのこの扱いは最早彼女の本能なので、文句を言ったところでどうしようもないのだ。
オニオンは一番広いテントにそれを難なく運ぶと、そこで武器を片付けていたフリオニールに八つ当たりをする。
「もう!ティファってさ!可愛いよね!?」
「ななななんだよいきなり!」
「べっつにー」
あっさりと慌ててくれるフリオニールに少しだけ機嫌を持ち直して、オニオンはテントに取り皿を並べた。
ティファの作る夕飯は完成間近で、そろそろいろんな所に散っている仲間たちを集めないと、全員が揃う頃には冷めてしまうだろう。
仕方ない、とテントを出かけたところでまたティファが顔を出す。
「あ、もしかして呼びに行ってくれるところだった?」
「うん」
オニオンが頷くと、ティファありがとう、とそれはそれは嬉しそうにオニオンの両手を取るのだった。
「オニオンって気が利くのね」
顔を近付けてそう無邪気に褒めてくれるのだからたまったもんじゃない。
オニオンは顔が赤くなる前にティファの手から逃れて外に出て行く。
彼の背中を見送ったティファは、フリオニールに振り返って嬉しそうに言う。
「ほんと、オニオンって可愛いわよね!」
「あ、ああ……」
とばっちりをくらったような気がしなくもないフリオニールだったが、よく分からないので何も言えなかった。
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