ティファ×セシル

置いてきたものがある。
けれど、それらは決して掴めないような気もしている。
行動せずに納得しそうになっている自分が、愚かで切ない。

「悩んでる?」
「どうだろう」
「聞くよ」

セシルは隣に並んだティファの横顔をちらと見てから、また前を向いた。
漠然とした不安を言葉にするのは難しい。どれだけ幼稚な表現でもティファはきちんと耳を傾けてくれるだろうが、言葉を探すのに時間がかかった。

「…何て言ったらいいんだろう。物足りない、かな」
「見かけに寄らず闘争心逞しいね」
「そういうのじゃなくて、なにか、たくさん忘れているような気がするんだ。ごめんね、ぼんやりとした感じで」

ううん、とティファは首を振った。よく意味も分からないだろうにティファなりに受け入れ考えてくれようとする姿勢は心地よい優しさを感じる。
もどかしい感情の解決には至らなくても、ティファの包容力に、セシルは確かに救われていた。




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