皇帝×ユウナ

流転

「世界の為に己が身を捧げる、か」
「……大切なひとのためです。迷いは、ありません」
「ククッ。その決意、実に素晴らしい。素晴らしいまでに残酷だ」
嘲笑を湛え、こちらを必死に睨み付ける少女をただ見返す。
「貴様はその覚悟のために他者の覚悟を容認するしかない。貴様は他人を見殺しにするしか出来んのだよ」
「そんなこと……!」
「ない、と言い切れるのか?」
「……わたし、は」
ぐらりと少女の決意に満ちた瞳が傾いた。
「我が支配を受け入れよ。全てのものが平等に我が膝元にかしづくのだ」
その覚悟を背負ってやろう。
少女はただ耳を塞ぐことしか出来ない。
何も言うことが出来ない少女に、暴君は満足そうに笑った。



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