暗闇の雲×ユウナ
螺旋
「あなたは何故存在しているのですか?」
少女の問いに、大して興味もなさげに妖魔は、さあ、と首を傾げた。
「強いて言うのなら、世界が必要としているから」
「世界……」
「希望から光が生まれ闇が生まれる。光と闇があるから儂が生まれ。儂があるから光の戦
士が生まれ闇の戦士が生まれる。光と闇の戦士から希望が生まれる。そうして世界は廻っ
ていく」
「……あなたが消えたら、どうなるのですか?」
再度の少女の問いに、またも妖魔は首を傾げる。
「儂は知らぬ。だがお前は分かっているのではないか。なあ、お前も似たようなものなの
だろう?」
妖魔の問いに少女は答えられない。
動けないまま、少女の身体は無の中に堕ちていく。
「歪んだ世界の均衡を紡ぐ者よ。おいで、我が腕の中で安らかに眠ろう」
甘美な囁きが、少女を包み込んだ。
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