WOL×スコール
2012/12/10 22:51
題「立体交差」
「何故私を避けるのだ」
問いと共に、腕を掴まれる。振りほどいて先を急ぐ事も可能ではあったが、今はそれをしてはいけないと、スコールは何故かそう思った。
「私が嫌いならばそうと言ってくれ。」
嫌いじゃない。そんな筈あるわけもない。
ただ怖い。このまっすぐな光には、自分の知らない事まで見透かされてしまう気がするのだ。
黙って首を振るスコールをわずかに悲しみの滲んだ瞳で見つめ、勇者はそっと手を離した。背を向けたスコールに、絞り出すように告げる。
「頼む。私から、目をそらさないでくれ。私は…私は、君が好きだ。」
顧みた彼の瞳にはうっすら涙が滲み、初めて見る不器用な表情がとても愛しいと、鈍った思考でスコールはそう思った。
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