スコール×皇帝
2012/12/10 22:44
金色は嫌いだと、スコールは唇を噛む。
高慢な支配の色。皇帝にはぴったりだ。
足音をさせずにお互い移動しているが、皇帝のこと、どこに罠を配置しているか分からない。
この緊張、どこまで持つか。壁を背に、ずるりずるりと移動する。
獅子の姿にはほど遠い、情けない姿だが、今は女神の雇われ傭兵としての任務を果たすことが優先だ。
クリスタルの確保。皇帝が有しているとはとても思えない。しかし、自分の宿敵らしいアルティミシアとは仲がいいらしく、見過ごせる相手でもない。
壁一枚のところで、彼の気配が止まった。
「おいで、スコール。貴様の欲しいものをやろう。かくれんぼは飽きただろう?」
唄うような誘いに、影からそっと、彼を伺った。
皇帝は無防備に両腕を広げている。紫水晶の目と目が合う。
脳が揺れた。
「く、そ……」
ゆうわくだ。
込み上がる欲望に、足元がふらつく。
皇帝の彩られた唇がなおも鮮やかに笑う。
あの、白い喉元に噛みつきたいという欲望が、スコールの体を浸食する。
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