暗闇の雲×オニオンナイト
2012/12/07 21:54
立つのがぎりぎりだ。唾を飲み込むのが、ぎりぎりだ。
荒れた息ももうかすかで聞こえないものだから、自分でも呼吸の必要のない生き物になってしまったのかと思ってしまう。
虚勢で睨みつけた敵、暗闇の雲は、微笑んでそこにいた。
オニオンナイトの幾多の攻撃を食らっても、悠々とそこで浮かんでいる。雲。名前の通り、つかみ所がなくて、どんなに力に訴えても彼女は。
「もう、仕舞いか」
彼女は僕を、……愛し続ける。
「今日は随分と頑張ったな。ほうれ、先のメテオで開いてしまったわ」
白い腹は確かに抉れていた。その淵を焦がして。
これで今日の戦いは終わりだ。
暗闇の雲はふいに姿を現して、秩序の陣営を引っ掻き回して、消えてしまう。
その中でも同じ世界から来たオニオンナイトに執心の様子だった。
気まぐれのくせに強いものだから、こちらとしては彼女を見るなり、うげ、と言いたい。
でも、オニオンナイトは気付いてしまったのだ。それが彼女の、無自覚の思いだと。
彼女は全てを無関心に、許容している。人が求める許しを与えることが出来る彼女は、求めることに応えている。
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