オニオンナイト×セシル
2012/12/07 21:51



腕を出してとオニオンナイトに素っ気なく言われて、セシルは隠し事がばれてしまった子供のように苦笑した。
オニオンナイトはセシルの左腕に手をかざす。

「どの辺り?ああ、小手は外さなくて大丈夫だから」

回復魔法をセシルが使えるのは知っている。けれど、怪我をしていると気付いたからにはオニオンナイト自身でセシルを癒したかった。
ばれるとは思っていなかったなあ、と悪びれもなく零すセシルは、オニオンナイトに言われなかったら、おそらく一人になったのを見計らって自分でこっそりと治癒したに違いない。セシルはそういう人だ。
やがて痛みが引いて来たのか、セシルがオニオンナイトの小さな手に自分のそれを重ねた。

「もう大丈夫だよ。ありがとう」
「本当に?」

オニオンナイトが疑いの視線を投げたが、セシルは涼しく笑んで頷くだけだった。
オニオンナイトは唇を噛む。覆い隠される己の手の小ささが、頼りないと言われているようで悔しかった。

「…セシルが僕達に心配をかけたくない性格だって、分かってるよ。でも、もっと、僕達を、」

(ぼくたち?)

いいや、違う。
今オニオンナイトが伝えたいのは仲間としての思いではない。もっと踏み込んだ距離での、わがままだ。

「ぼくを、たよってよ」

そうするに値するほど、自分の実力が足りていないのは嫌でも分かっているけれど。




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