暗闇の雲×WOL
2012/11/11 13:51


title:闇と光



今、宙に漂っている暗闇の雲の腕の中で眠っているのは、光の戦士と呼ばれている秩序の神に召喚された青年だ。

暗闇の雲の仲間(と、呼ぶにも至らない程仲は良くないが)である、混沌の戦士達とイミテーションの戦闘で辛勝を収め、全ての気配が消えた事を感じ取った瞬間、この青年はその場に倒れ込んだのだ。

暗闇の雲はその一連をずっと傍観していた。自分は元々実体のない存在だから、姿は勿論の事、気配を消す事すら容易に行える。

そして暗闇の雲はそんな彼の傍に姿を現し、彼の身体に腕を回し、そのまま次元の狭間へと身を沈め、今に至る。

どうして彼女(?)がそんな事をしたのかと言うと、以前から彼に興味があったからだ。

正確には彼の持つ光の力。

その力はあの伝説のオニオンナイトなど足元にも及ばない。

自分が光の力を携えている時のそれに限りなく近い様に思える。

どうして彼がここまでの力を手にする事が出来たのかが気になった。

ガーランドの対、と言われてはいるが、自分が彼の対ではないかと考える程に。

暗闇の雲は、眠っている彼の頬に触れる。

血の気が失せた顔は蒼白だ。だが特に助けようとは思わない。これぐらいで死ぬ様な存在ならば、それまでの存在だったと言う事。

以前この男に言われた事を思い出す。



『その闇、我が光で貫く』



下らない。そう思った。光だけではこの自分を倒す事等出来る訳がないと。

だがその力を見せ付けられた瞬間、暗闇の雲はその口元が綻んだ。



嗚呼、奴ならばそれも出来るかもしない。



面白い、と。



「これで終わりではなかろう?」



暗闇の雲はその顔に笑みを浮かべる。それは息を呑む程美しく無邪気で、愛しさに溢れていた。



「もっとわしを楽しませろ。その力を以ってな」



そしてその愛しさのまま、闇は光に口付けた。






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