WOL×ティナ
2012/11/07 22:34
ウォーリアオブライトは彼らしく顔には出しませんでしたが、突如として眼前に現れた赤い何かに戸惑っています。
視界を埋めつくしてしまうほど大きいそれは、材質としては毛、なのでしょうか。
球形であると思われる何かは、強い力でぎゅうぎゅうとウォーリアオブライトの顔に押しあてられ、形がゆがんでしまっています。
これは一体何なのでしょう。
ここまでかわいらしくやわらかい敵襲などあるわけがないので、敵ではないとウォーリアオブライトは警戒をほんの少しだけ緩めますが、それが未知の物体であることに変わりはありません。
押しつけられる力が弱まり、それが離れていくとともに、全体が認識できるようになっていきます。
二頭身のからだに糸目、顔を覆いつくしてしまいそうなほど大きな赤い鼻。
とするとこれはモーグリ?
あんなに毛むくじゃらな鼻をしていただろうか。もっとつるんとしていてすべすべな印象だったのだが。
ウォーリアオブライトのその疑問は、こてんと項垂れている頭のポンポンによって解決しました。
…ぬいぐるみ?
そう、それはモーグリをそっくりに模した等身大のぬいぐるみなのでした。
操っていたのは言うまでもなく真正面に座っている少女、ティナで、自身もぬいぐるみの鼻にちゅっと音をたてて口づけています。
「間接ちゅー、クポ」
ぬいぐるみの短い腕をぴょこぴょこ上下させながら、はにかんで言うティナ。
しかしウォーリアオブライトはどこか物足りなかったようです。
「どうせなら、直接、がいいのだが」
ねだるような視線に逆らう理由もありませんので、ティナはおいでと広げられたたくましい腕の中にとびこむのでした。
prev | next