ガーランド×ティナ
2012/11/07 22:32



「綺麗な瞳の人には、死神が寄ってくるんだって」

不吉なことを口にしながら、白い指をこちらへのばしてくる少女。
中指が仮面に触れて進路を阻まれたところでピタリ、手の動きがとまる。

「飴みたいだからついたべちゃうのかもね」

食べ頃を見定めるかのようにまじまじと見つめてくる。

「ずいぶんと食い意地のはった死神だ」
「だって、おいしそうだもの」

ガーランドの瞳は仮面の窪みの奥に隠れているため、ティナの位置からではどんな色をしているのかはまったく分からないはずなのだが。

「私より先に誰かに食べられないように気をつけていてね」

そのための仮面なんだからと続けるティナ。
彼女曰く、好きなものは最後までとっておいて、丁寧にゆっくり味わうタイプらしい。
食後のデザートか何かだと思われているのだろうか。はなはだ心外である。
残念だが、そこまで大人というものは甘くはない。

「さあ、どちらが先だろうな」

ティナに食されるのが先か、それとも。
のばされたままの手をつかんで華奢な体を押し倒せば、驚きにゆらめくティナの瞳。

まあ、確かに美味そうでは、あるな。





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