ティナ×ガーランド
2012/11/07 22:32



ないしょの話

二人の秘密の丘。
誰にも内緒で、約束の場所。
足元の小さな草花を踏まない様に、ふわり、浮きながら登っていく。
一本木の下に待っている人は、今日も背を向けて舟を漕いでいた。
混沌の地ではあまり眠れていないのかしら、そんな優しい心配も楽しくて、浮かれた心が跳ねる。
小鳥のように気配無く舞い降りて、正面にぺたんと腰を下ろした。
鉄の塊に身を包んだガーランドは一度、こくり、頭を揺らす。
無防備な姿に心躍るよりも前に仮面が重そうだと思ってしまった。
耳飾りが揺れ、不思議な表情の彼らと目が合う。
ずるいなぁ、いつも一緒で。そんな可愛らしい嫉妬、伝えるわけにもいかない。

「…声ぐらい掛けんか」
「起きちゃった?」
「ふん、もとより起きとるわ」
「嘘吐きね」

綿菓子のような笑みは同様の髪を纏い、鋼鉄の手によって捕えられる。
包み込まれた白く柔らかい肌には赤みが差し、まるで恋する少女、己に酔う。

「あのね、キスをしてもいいかしら?」
「この鉄仮面にした所で、冷えた感覚しか得られんぞ」

それでも構わないのよ、貴方の一部に触れる事が出来るのなら。
微笑みを浮かべたティナは包み込まれていたガーランドの手を掴み、上体を伸ばす。
熟れた少女の唇は鋼鉄の頬に触れ、細い腕は首に絡み付く。
薄暗い鉄仮面の中、響くのはティナの口付けだけ。
膨らみを目前に背徳感が湧き上がる、押し殺して細い腰を抱いた。






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