ティナ×セシル
2012/11/07 22:21



「強くなりたいと思うのはどうして?」

ティナが問うと、セシルは遠くを見つめたままで、しかしはっきりと答えた。

「弱いから」

まるで責められたみたいにセシルが表情を歪める。それは痛い思いをした時にする表情と同じだった。傷つけてしまっただろうかとティナもきゅっと唇を噛む。
セシルは、弱くない。
ティナがそう思っても、セシル自身の気持ちの問題だったら、ティナの言葉はセシルには伝わらないだろう。

「わたしも、弱いの」

分かり切った事実を音にしてみると涙が溢れてきそうになった。ティナはそれを堪えてセシルの手をそっと包む。

「弱いの。でも、セシルを守らせて」

弱くない、でも誰かの前で泣けないセシルの涙の場所になれたら、と。
彼の涙を己の指で掬える日が来ることを、ティナはずっと願っている。





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