ヴァン×セシル
2012/10/28 20:09


空に夢を見ているヴァンにセシルはよく現実的な言葉を返すけれど、ヴァンの空へ対する憧れは全く褪せないままだ。
その曇りない瞳を見ていると、ヴァンが描く空はきっと広く自由なのだろうと思う。

「ヴァンは空に出て何を掴みたいの?」
「つかむ?うーん、お宝とか?」
「決めてないんだ」

屈託ない夢は、美しい。
セシルはもう、ヴァンのように夢を見ることは出来ない。もしかしたら、彼の純真さが羨ましいのかもしれない。

「まあな。何をするかなんて、最悪空飛んでからでも決めれるだろ?それより今は、」

がし、とヴァンがセシルの手を掴んだ。

「目の前のセシルを掴んで手に入れたいんだけど、オレのものになる気は?」

無邪気な笑顔が、セシルの心にするりと入り込んでくる。
鍵を掛けてもヴァンならこじ開けてくるのだろう。意外とセシルはヴァンのそういうところは嫌いじゃない。
ヴァンの手を滑らかに振り解いて、セシルは笑い返した。

「欲しかったら、きちんとつかまえてないと駄目だよ」
「…放せって言っても放してやらないからな。覚悟しとけよ」

拗ねたように唇を突き出したヴァンに、セシルは望むところだよと余裕がある振りをしてみせた。




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