ヴァン×カイン
2012/10/28 20:07

空のような色をした瞳に、自分の求めた世界を見た気がした。
彼が見る世界。
その眼に刻まれた世界を自分はずっと求めてきた。

「…遠い、かな」

距離はまだ測れない。
測りたくない。
それでもその世界へは遠い気がする。
ため息をついてもう一度カインの眼を見つめ、ヴァンは苦笑した。
あまりにも青いそれはどこか冬の空に似ていて、彼という人間そのものだと納得できてしまう。

「なぁ、カイン」
「どうした」

あんたが見てる空って、どんな風なの?
尋ねたとして、自分が求めるような答えは返ってくるだろうか。
彼が見ている空と、自分の求める空。
それがまるで違っていたとき、きっと自分は。

「…なんでもない」
「そうか」

可笑しな奴だ、とカインは笑う。
それでいいや。
呟いて、ヴァンは彼の背中に勢いよく飛びついた。
細身だが鍛えられた身体は揺らぐことはない。
なんとなく悔しくて、ヴァンは頬を膨らませる。

「俺、もっと筋肉つけるわ」
「…何をもってそう思った」
「あんた」
「……ばかか」

呆れたようにため息をつきながらも振り払おうとはしないカイン。
みてろよ、とその背に額を擦りつけながら呟いた。

「今はこれで満足してやるよ」

今だけ、距離はゼロ。



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