フリオニール×シャントット
2012/10/21 20:55
フリオニールは異世界に呼ばれて最大級に気を張っていた。強敵との戦闘中よりも、夕飯を作っている時にティーダのつまみ食いを警戒するよりも。
足をこっそりと忍ばせて目的に近付く。
元々狩りでもしていたのだろう自分は。なかなかの忍びっぷりである。
手にはいつもののばらを持って、抜き足差し足。
しかしあと少しで、小さな目的であったシャントットは振り向いてしまった。
「まぁーったくしょぼくれた忍び足ですこと!ばればれですのよ!」
しかしフリオニールはめげなかった。ばれるのは計算済みとばかりにのばらを振りかぶる。
いつもと違う様子に気付いたシャントットがなんですの?という頭には、一瞬でそののばらが飾られていた。
ウェポンマスターの本気だった。
フリオニールは膝を着いて、まじまじとそんな不審がるシャントットを見つめた。
やがて口元を片手で覆って、緩むそれと赤くなる頬と隠した。
「……かわいい」
シャントットは頭に手をやり事情に気付くと、思いっきり杖でこのへっぽこくんのバンダナ頭を殴ったのだった。
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