シャントット×オニオンナイト
2012/10/21 20:52
何故僕は寝ているんだろうと思うと同時にひやりとして、オニオンは起き上がろうとした。
さっきまで戦闘中だったはずだ。しかし、体が動かない。
「なにこれ!?」
「あらあらようやくお目覚めですの?」
体は長いテーブルのようなものに縛りつけられ、見下ろしてくるのはイミテーションとは違う小柄な影だった。
見たことのない、小柄な女の子は、その可愛らしい容姿に相応しくない高飛車な笑みを浮かべている。
何者だろうか、こうして縛られているのだろうから、味方とは言えなさそうだ。
「あんた、カオス……?」
「んま、誰が混沌ですか」
心外そうにして見せるが、消えない狂暴な微笑みが何よりもの肯定である。
オニオンはとにかく、と彼女を睨み上げた。
「誰だか知らないけど、これ、ほどいてよ」
「ええもちろんそのつもりでしてよ。貴方がわたくしに忠誠を誓えば」
「え?」
彼女は驚くオニオンに、その冷たい光が宿った円らな瞳を近付けた。
裏側に感じる圧倒的な力の予感に気圧され、思わず唾を飲む。
「わたくし、この世界に退屈しましたので、ぶっ潰しますわ。貴方はわたくしの僕として拾ってあげます」
「なん……!?」
「うふふ、だってお子様は、可哀想でしょう。例え等しく仮初めの命とは言え」
彼女は楽しそうに名乗った。シャントットと。
神々も予測しない、第三の勢力として旗を上げ、物語を壊してやるのだとそれは楽しそうに言うのだ。
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