シャントット×セシル
2012/10/21 20:49


無能を何よりも嫌う淑女に跪いて、セシルはシャントットからの言葉を待つ。
どれだけ沈黙が長く続こうとも彼女が許可するまでは決して顔を上げてはならない。心得ている。

「虫けらに等しい分際で、わたくしのことを好いているとは全く…まあ、女性を見る目はあるようですわね」

セシルは微動だにしなかった。シャントットに思いを告げることの愚かさを理解していたから。
きっとシャントットはセシルを駒としても必要としなくなってしまうだろう。彼女の目的のために動く“もの”で満足しなければならなかったのに、思いを抑えておけなかったのだ。お前など必要ないと突き放されても文句は言えない。

「そうですわねえ…」

シャントットはセシルに顔を上げるよう指示した。
こつ、と。セシルの顎にシャントットの杖があてられる。

「貴方がどうしても言うのなら、遊んでさしあげてもよろしくてよ?」

細められたシャントットの目は、新しい研究材料を見つけた時と同じように愉悦に染まっていた。




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