カイン×シャントット
2012/10/21 20:49


情けない話だが、カインは恐怖で動けなかった。首筋に殺気だった刃を突きつけられている心地というかもう既に数ミリ刺さっている心地というか。
背後にいるのはシャントットである。鼻歌なんぞ歌っている彼女である。
小さな手は、カインの長い髪を先ほどから弄っている。
どうやらどこからか調達したらしい花や草木を編みこんでいる。なんの儀式だ。
一応、先ほど決死の思いでなんのつもりだと聞いたところ、

「折角髪だけは綺麗なのですから弄らせなさい」

との回答を頂いた。
カインには意味が分からない。
だから何か魔法系の儀式に自分の髪が必要なのだと思っている。
いきなり全部むしられて持っていかれるよりはましだろう。正直魔法の話はからっきしだ。

カインには分からない。気になる子の髪に触れてみたいという好奇心が一応この淑女の乙女心にもあるということが。




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