ジタン×WOL

title:彼そのものがお宝です。



フェミニストである自分がどうして彼を愛してしまっているのだろうか?



……いや、彼の魅力は男とか女とかではないのだ。



それすらも超越するのが、彼の美しさであり、優しさであり、強さだ。



「ウォーリア」



ジタンは剣の手入れをしている彼の隣に腰を降ろした。

彼の傍は居心地が良い。尻尾は嬉しそうに揺れている。

「何だ?」

ウォーリアはジタンの方を見る事もなく訊ねる。

剣の手入れは終わらない。

……嗚呼、その剣に向けている真剣な眼差しをこっちに向けてはくれないだろうか?

だが、その横顔を見ていたいとも思う自分が居る事もまた確か。



磨き抜かれた刀身に、彼の顔が映っている。



「さっきさ、あっちにある丘の向こう側に花畑を見つけたんだ」

「花畑か。珍しいな」

「そうなんだよ、真っ白な花が一面に広がっているんだ。風が吹くとその花の香りが少し散った花弁と一緒に風で運ばれてきてさ、気持ちいいんだ」

「ほう」

「だからさ」

ジタンは立ち上がり、彼の肩に手を置いてその耳元に唇を寄せ、



「今から二人きりで見に行かないか?」



少し声を潜めて囁く。



すると漸く彼が手を止めてこちらを向き、ジタンを見つめる。



顔が必然的に近くなる。



「良いだろう。たまには」



そしてウォーリアは剣の手入れの道具を置いた。





本日ジタンが手に入れたお宝。

貴重な二人きりの時間。

ウォーリアの貴重な笑顔。

そして、キス一回。



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